(36)西ノ原B遺跡
掲載:広報ほくと2008 9月号 No.47 p.17
北杜市では、老朽化した市営住宅の建替えが進んでいます。高根町村山西割の西原団地は平成17年度から建替工事が始まりました。団地の地下には西ノ原B遺跡があることが知られていましたので、工事前に発掘調査を実施しました。
発掘調査では、およそ5千年前の縄文時代の竪穴住居跡23軒、1,600年前頃の古墳時代の住居跡11軒、1,000年前の平安時代の竪穴住居跡4軒、400カ所ちかい貯蔵穴や墓穴などがみつかりました。北杜市では数少ない方形周溝墓(ほうけいしゅうこうぼ)という古墳時代の墓もみつかりました。
興味深いのは、平安時代末期の11世紀頃のムラ跡。甲斐源氏が台頭する時代の地域史を考える資料が増えました。八ヶ岳南麓ではめずらしい時期の資料なので貴重です。
数千年にわたり繰り返し生活の拠点になった西ノ原B遺跡。自然災害の心配がない居住適地だったわけです。市営住宅にはぴったりの場所です。
(37)北杜市指定天然記念物 北野天神社のトチノキ
所在地:北杜市小淵沢町3349
指定年月日:平成7年9月28日
掲載:広報ほくと2008 10月号 No.48 p.25
斎藤隆介の絵本『モチモチの木』。滝平二郎の切り絵も印象的で、多くの人の記憶にとどまっていることと思います。物語の中で主人公豆太が命名した「モチモチの木」はじつはトチノキでした。
北杜市内には多くのトチノキの巨木・大木があります。代表的なものとして須玉町日影のトチノキ(山梨県指定天然記念物)、大武川諏訪神社のトチノキ(「諏訪神社の社叢」として神社林全体が県指定の天然記念物になっています。)、逸見神社のトチノキ(北杜市指定天然記念物)などがあります。
北野天神社のトチノキは、神社境内のほぼ中央に聳(そび)えています。そのため存分に枝を延ばすことができ、トチノキ本来の樹形を見ることができます。本樹は地上1.3mでの幹周りは4.20m、樹高は27mを測る巨樹で、地上5mほどまでは直立し、そこから延ばした太枝は境内をすっぽりと覆うようです。新緑や盛夏のすがたも見事ですが、秋には紅や黄色のとてもにぎやかな紅葉が見られ、葉が落ちると境内一面が厚く覆われます。
豆太が実を粉にしてお餅にするとほっぺが落ちるほどおいしいといったトチノミの今年の実りはどうだったのでしょうか。