甲陽病院の診療について
更新日:
番号:10
趣旨
昨年(2021年)4月、急激な腹痛(嘔吐、発熱あり)を二晩我慢して甲陽病院を受診しました。
痛みで歩けないため、車椅子を利用して主人に付き添ってもらいましたが、診断はカンピロバクターを疑う「胃腸炎」とのこと、抗生剤を処方されて帰宅しました。薬が切れると再び発熱し、次の診察時にも腹痛は治らず、便検査は陰性だったのに診断は「胃腸炎でいいと思います」とのこと、別の薬に変更することになりました。が、結局腹痛は治らず、発症から2週間後初めて腹部CTを撮り「便秘が原因」と便秘薬を処方されましたが治りません。CTのレポートで初めて虫垂炎疑いを指摘されましたが、既に腹腔内に膿瘍が広がっていて、卵管、膀胱にまで炎症が及び、膿瘍により画像が鮮明でなく確定診断がつきませんでした。既に2週間以上続く痛みで日常生活も家事もままならず家では寝たきり。当然仕事もキャンセルし続けました。「血液検査の数値は改善しているため入院の必要はない」と言われましたが希望して入院。絶食と抗生剤の点滴で膿瘍は縮小傾向が確認でき、5日間で退院となりましたが、以後も痛みは継続していました。確定診断も特段の治療もないまま、痛みを我慢して通院、自宅では寝たきりで痛みと向き合う生活が約3週間続きます(CTやMRIの結果から、一時は「卵巣がんの膀胱浸潤」という末期がん宣告と同等のことも告げられ、自身の余命を考えさせられましたが、結果的にそれは誤りだったことが説明されました)。ガンでないのなら、自分なりに虫垂炎疑いが濃厚だと思い、主治医にも外科の診察や、手術適応ではないかと申し出ましたが、その必要はないと言われました。自分の病気が何なのか、何が原因か、いつ治るのかもわからないまま継続する腹痛に耐え、退院2ヶ月後、ようやく家事など日常生活が送れるまでに回復。しかし程なく激痛が再発し、夜間休日外来を受診すると虫垂炎の可能性を指摘されました。
県外の病院を紹介してもらい、過去のCTなど精査した上で虫垂切除術を受けることに。発症から3ヶ月、初めて虫垂炎疑いとして手術を勧められ、結果的に膿瘍を形成し腹膜炎も起こした重症の虫垂炎であったことが判明しました。虫垂炎は日本人の7%が罹患するともいわれるありふれた病態です。私の場合、CT検査のタイミングが遅すぎる点、CTの結果虫垂炎疑いがレポートされたにもかかわらず、外科に紹介されることもなく内科と婦人科で「卵管炎」として対応を続けられた点、に非常に疑問を抱いています。女性の場合、虫垂炎が進行(破裂)した状態では婦人科疾患との鑑別が難しいとも聞きますが、私の婦人科疾患の検査は全て陰性であったにも関わらず、カルテには「卵管炎」とされています。
便検査でカンピロバクター他の菌は検出されていないのに「胃腸炎」、婦人科の細胞診検査でも菌は検出されていないのに「卵管炎」。「検査で菌が検出されないこともある」と言われました。かといって虫垂炎を否定する検査結果は出ていませんし、初発症状を振り返れば、時間の経過とともに心窩部からへそ周辺、右下腹部へと痛みの場所が移動していること、腹痛の後に嘔吐し発熱したこと、血液検査結果等、いわゆる虫垂炎の典型的な症状と経過を辿っています。
判断するのはお医者さんですが、患者が納得するエビデンスは何も示されないままカルテには「卵管炎」と記載されています。私には「虫垂炎か卵管炎か今となっては判断がつかない、いずれにしても治療方法は点滴で同じなので大丈夫です。」と説明されています。お医者さんの言われることを信じて従っていましたが、他の治療方法(外科的治療)は一切示されませんでした。
今回の私の経験からすると、「進行した虫垂炎で甲陽病院にかかると、特に女性の場合原因不明とされ、手術適応の病態でも保存治療が選択され、長期間の痛みに耐え続けなければならない」ということになります。主治医は、私と類似した過去の女性の例(保存治療で完治)を挙げてそれと同じだと思う、と説明してくれています。私の場合、膿瘍は卵管と膀胱を圧迫し、膀胱炎の症状にも相当苦しみました。また、出産適齢期の女性であれば、不妊などの影響も考えられたはずです。完治後、私はカルテ開示し、甲陽病院の複数の医師に説明をお願いしました。当時の主治医は既に転勤し、直接話をする機会は希望しても与えられません。院長ともお話ししましたが、「カルテを見ての判断しかできないが、炎症を抑える適切な治療が行われている。どこに出しても恥ずかしくない治療だと私は思います。」とのことでした。問診不足、カルテの記載不足、診断ミス、必要なタイミングで必要な検査ができていないこと、外科への相談がないこと等、その時々の最善を尽くしているので一切認めるつもりはないそうです。院長として組織防衛を考えるのは当然のことなのかもしれませんが、「病院として非なはい、責任はない。その時々の最善を尽くした結果。」と繰り返しおっしゃいました。
虫垂炎の症状は非典型的な症例も多く、発見が遅れる例も多々あることは承知していますが、今回の私の症状は、至って典型的な経過をたどっています。つまり、典型的な虫垂炎に対し甲陽病院では診断がつかず、本来信仰した虫垂炎として手術適応の症例に対して漫然と保存治療を継続した結果、一旦は時間をかけて炎症は治まったものの再燃した、というのが事実であると考えています。
ここまでお読みになると、市長も市職員の方も、万が一ご自身やご家族の方に急な腹痛が起きた場合、積極的に甲陽病院に行こうとは思わないのではないでしょうか。市民が市立病院、つまり地域医療を信頼できないとは、非常に悲しむべきことだと思いませんか。コロナ禍でもあり、医療機関に負担をかけることは本意ではありません。しかし市民が病気等で苦しんでいる時に、まずは一番身近で頼りになるのが市立病院であってほしいのです。今後、私のような患者を出さないために市として市立病院としてどうすべきか、是非とも本症例を検証してご報告いただきたいと考えています。私は死んでいませんし予後も良好ですが、どうしても甲陽病院で自分の受けた医療が標準治療だとは思えません。今でも痛みや主治医の言葉を思い出すと涙が出ます。どうか時間の経過と共にうやむやにすることなく、当時の主治医と甲陽病院にはこの事実に真摯に向き合っていただきたいと思っています。
対応内容
今回の甲陽病院の対応につきまして、診療をお受けいただいたにもかかわらず結果として確定診断に時間を要した結果となり申し訳ありません。
甲陽病院は市立病院として一般診察から救急診療、新型コロナウイルス患者の受入れなど年間延入院患者約27,000人、外来患者約63,000人の患者に診療を提供しております。また、病院の運営につきましては山梨大学医学部の協力をいただきながら院長以下常勤医師8名と非常勤医師を中心に診察を提供させていただいております。
今回の内容について、病院より説明を受け、投薬による効果も見られたことから、医師が投薬治療と判断されたものであるため、適正な医療提供と捉えております。
平素より地域の中核病院としての自覚を持ち市民に寄り添った医療を提供するよう指導しておりますが、今般の貴殿の病状について速やかな確定診断に至らなかった結果については誠に残念な限りです。
今後も医療の質と医療安全の向上を図るため、研修等による医療知識・技術の研鑽を行うとともに、病院として適切な医療の提供に努めてまいりますので、ご理解とご協力をお願いいたします。
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