世界に誇る「水の山」プロジェクト ABOUT "MIZUNOYAMA" PROJECT
「水の山」コラム

#015 高校生×水の山パートナー企業
高校生と「水と暮らすサステナブルなまち 北杜市」を考える。
北杜市内にある3つの高校(山梨県立北杜高等学校、北杜市立甲陵高等学校、学校法人帝京大学帝京第三高等学校)と、水の山パートナー企業(サントリー食品インターナショナル株式会社、山梨銘醸株式会社、金精軒製菓株式会社、北杜市農業企業コンソーシアム、萌木の村株式会社、株式会社アルソア慧央グループ、株式会社シャトレーゼホールディングス)の連携のもと、北杜市で学ぶ高校生に、水の山パートナー企業の視察などを通して北杜市の水と山の恵みについて深く学んでもらい、「水と暮らすサステナブルなまち北杜市」を実現するためのアイデアを考えてもらおうという、世界に誇る「水の山」ユースアイデアプロジェクト。2025年3月18日、今年度の活動の集大成となる「3校合同発表交流会」が北杜高校で行われ、4名の有識者(南アルプス自然保護官事務所/国立公園保護管理企画官 藤田和也氏 吉本興業/山梨県住みます芸人 いしいそうたろう氏 山梨県立北杜高校/校長 山田芳樹氏 大柴邦彦北杜市長)と水の山パートナー企業各社の代表が見守るなか、3校の代表者による発表が行われた。
評者
以下、左側より順番に
北杜市長 大柴邦彦(以下、大柴市長)
水の山パートナー企業 サントリー食品インターナショナル株式会社 佐藤匡 氏(以下、佐藤氏)
環境省南アルプス自然保護官事務所 国立公園保護管理企画官 藤田和也 氏(以下、藤田氏)
吉本興業所属 山梨県住みます芸人 いしいそうたろう 氏(以下、いしい氏)
山梨県立北杜高校 校長 山田芳樹 氏(以下、山田氏)
市立甲陵高等学校「北杜市の農業と土地活用について」
トップバッターで登壇したのは、甲陵高校の2年生3人。全員が市外から通学していることから、まずは北杜市について知ることから始め、「自然が豊かできれいな水も豊富なのに、なぜ第一次産業の割合が低いのか」という問いを立てて調査を開始。書籍や既存データの分析に加え、北杜市役所の担当部署を訪ねたり、市内で行われている移住者交流会に参加するなどしての聞き取り調査も行い、高齢化や後継者不足から遊休農地が増加している一方で、農業をやってみたいが土地を手に入れる方法がわからないという移住者が一定数存在することに着目。遊休農地の活用を促進する、遊休農地の所有者と農地を探している移住者をマッチングするインターネットサイトを考案して提案。加えて、土地の貸し借りにおける保証と信頼を得るため、両者の仲介を担う法人を設立し、マッチング事業に加えて、農業体験ツアーの実施や観光農園の運営、さらには、利用のハードルを下げるための期間限定貸出や新規就農者をサポートするためのマーケティングイン・コントラクター事業等の展開も提案した。
寸評
まず、農業を取り上げたことが非常に良いと思います。私の周囲にも農業をやってみたいという移住者は多いのでこのような仕組みを喜ぶ人は多いでしょうし、北杜市に魅力を感じて移住を考える人いう人も増えるのではないかと感じます。北杜市は地域ごとに特色があるため、その地域でどんな農業ができるのかも掲載したり、鳥獣害対策のサポートをしたりするのも農業を始める際のハードルを下げることにつながるように思います。また、環境への配慮もこの仕組みの中に取り入れることができそうだなとも思いました。今後の広がりが期待できるおもしろいアイデアでした。(藤田氏)
課題の掘り起こしから始め解決策に至るまでの自分たちなりの考えが理路整然と語られて、非常に伝わってきました。みなさん北杜市民ではないとのことでしたが、その視点で課題を掘り起こすことがしっかりできていたことも素晴らしかったと思います。
ところで、僕は自身の経験から、移住が成功するか否かは地域の方々とのコミュニケーションが肝だと思っているんですね。僕は、人の良さも山梨の特徴のひとつだと思っているので、このまちを良くしたいと思っている地域の人たちと一緒に取り組んでいければ、さらに具体的な形になっていくのではないかと感じました。(いしい氏)
私立帝京第三高校「北杜市の新たなブランド水「杜の水」を世界へ!」
2番目に登壇したのは、帝京第三高校の1年生4人。水の山パートナー企業である株式会社シャトレーゼホールディングスの白州工場を視察した際に、北杜市の水が食品や飲料の製造に優れていることを知るとともに、硬度の異なる水を飲み比べその違いを実感したことから、北杜市の「水」に着目。全国から生徒が集まっている特性を活かし、「水道水を飲むか」というアンケートを実施した。その結果、北杜市出身の生徒の9割以上が「飲む」と答えたのに対して、東京、大阪など都市部出身の生徒の半数以上が「飲まない」と答えたことから、北杜市の水を飲料水として発売することを発案。北杜市の水がもともと持つ、ミネラルバランスの良い味わい豊かな天然水という特長に加え、容器とキャップにバイオプラスチックを使用した、これまでの飲料水にはないボトルデザインやパッケージの新たなブランド水「杜の水」の開発を考案。販売方法や価格を考え、ボトルやラベルも自分たちでデザインして発表した。
寸評
企業視察での経験をきっかけにさまざまな気づきを得ながら深掘りをしていった、素晴らしい探究活動だったと思います。すでにある「天然水」というジャンルでどのように差別化を図るか、地球環境への配慮、高めの料金設定で利益を確保し、水不足で困っている国や地域で安く販売するなど、多様な視点で検討が重ねられ、さまざまなアイデアが詰め込まれていて、感心しました。若い世代がこうしたアイデアを生み出し新たなものを創造していくことが、今後ますます大事になっていくと思います。みなさんにはこれからも探究活動を続け、ぜひ、全国で活躍する人材に成長していってほしいと思います。(山田氏)
県立北杜高校 「水を生かした北杜の観光」
最後に登壇したのは、北杜高校1年生2人。北杜市の現状を分析し、人口減少と若者が都市部へ行ってしまうことによる高齢化が大きな課題になっていることを認識。
その原因として、(1)北杜市には気軽に訪れることができる娯楽が少ない、(2)県外の若い人が興味を持つものが少ないという2点を挙げると共に、もう一つの課題として後継者不足による農業の衰退があることを指摘した。そして、そこから抽出した北杜市の若者の減少と、農業の衰退という2つの課題を解決するために、特産品など山梨県の長所を生かした商品の開発、販売、PR活動を行うことを考察し、具体案として、県外の若者をターゲットに、見た目のインパクトがあり、おいしい北杜市の特産品でもあるブルーベリーをふんだんに使った天然氷のかき氷を考案。北杜市の鳥であるフクロウをデザインした、写真に撮りたくなるかき氷を考え出し実際に作ってみると共に、より多くの人に「行ってみたい」「食べてみたい」「写真に撮りたい」と思ってもらうために、インパクトのあるビジュアルをSNSなどで積極的に発信することを提案した。
寸評
何をやりたいのかが明確でわかりやすい発表でした。特に良かったのは、実際に作ってみたこと。私どももさまざまな飲料水を開発しているのですが、アイデアを具現化する、すなわち試作品を作ってみることで一気にプロジェクトが動き出すということは珍しくありません。今回もプレゼンテーションの説得力がぐんと高まり、課題も明確になりましたよね。考えるだけでなくここまで形にしたことは、本当に素晴らしいと思います。一方で、SNSなどでインパクトのある画像を発信し、現地から離れた場所で話題にすることで誘客につなげようとする取り組みは、同じような志を持つ仲間をたくさん作り、すぐに結果が出なくても強い意志を持って続けていくことが重要です。みなさんが考案したブルーベリーのかき氷は見た目もかわいらしく、とても美味しそうで、僕もぜひ食べてみたいです。そして、氷にはぜひサントリーの天然水を使ってもらえたら嬉しいですね。(佐藤氏)
3校代表者による発表が終わった後には、大柴市長による全体講評が述べられた。
総評 北杜市長 大柴邦彦
本日は素晴らしい発表をありがとうございました。-中略-
甲陵高校のみなさんは、北杜市の農業と土地活用についてということでした。北杜市はご指摘の通り、高齢化が進み、農業、一次産業が大変厳しい状況にあります。若い人たちにぜひ農業に参加していただきたい、そのためにはマッチングが大事だということは私どもも考えておりまして、本日みなさんが発表してくれたマッチングの工夫等も参考にさせていただき、より多くの方々に農業に従事していただけるようにさまざまな施策を行っていきたいと思います。そして、農業で幸せをつかんでいただけるよう、『儲かる農業』を実現させていけたらと思います。
次に帝京第三高校のみなさんは、「北杜市の新たなブランド水『杜の水』を世界へ」ということで、水の性質をよく調べ、素晴らしいペットボトルを自分たちで考えて、『杜の水』という新商品の開発を提案していただきました。北杜市に住んでいると水道水を飲むのが当たり前で私も水道水ばかりですが、それは美味しいからなんですね。それに対して都市部では水道水を飲まない人が多いというのは興味深いですね。そして、自分たちでアンケート調査をして、そうした結果を得たということも素晴らしいと思いました。-中略-
北杜高校のみなさんには「水を生かした北杜の観光」ということで発表をしていただきました。私も施策のひとつに「点から面への観光」ということを挙げさせていただいています。北杜市に多くの観光客を呼んで、北杜市を元気にしたいというのが私の思いです。みなさんに考案していただいたかき氷を販売できるようになれば、また新たな北杜市の魅力になると思うのでぜひ実現していただきたいと思います。
本日みなさんの発表を聞いて、私も、北杜市の魅力そして潜在能力を再認識いたしました。これからも北杜市のことを研究していただいて、高校生ならではのフレッシュな視点からいろいろとご提案いただけたらありがたいなと思います。高校生のみなさん、これからもぜひお力をお貸しください。
その後、大柴市長より、3校の代表者へ修了証の授与が行われ、盛況のうちに三校合同発表交流会は終了した。
プロジェクトを終えて
参加生徒
「活動が始まった時には水についてあまり関心が無かったのですが、企業視察を通して、北杜市内の企業が、北杜の水の良さを活かして製品を作ったり、北杜の水を守るためにいろいろな取り組みをしていることを知り、それが、今回の『杜の水』というアイデアにつながりました。そこが一番の学びだったと思います」(帝京第三高校生)
「今回のテーマとして、観光に加えて、高校生でも実現できるということも大切にしたかったので、コストも含めて自分たちで実現可能な範囲を考え、それを実行に移すということが難しかったです。これからも、日々の生活の中で北杜市に何が足りないのかを考え、それを解決するためのアイデアを考えて、将来につなげていけたらと思います」(北杜高校生)
「サントリー白州工場でお聞きした、水を採取するだけでなく、未来の水を育むための森を作っているという取り組みが、とても印象に残っています。1年間かけて研究を進め、農業と土地活用について所有者と利用者を結ぶ仕組みを考えましたが、それを実行しないと研究した意味がないと思うので、今後はどうしたら実行できるかを考えながら次につなげていけたらと思っています」(甲陵高校生)