八ヶ岳南端の絶景の山頂から信仰の歴史を刻む岩峰の頂へ
About
編笠山山頂から権現岳ヘ
赤岳や編笠山と並んで八ヶ岳を代表する山であり、特に古くから信仰の対象となってきたのが権現岳です。
山頂のすぐ下には檜峰神社と呼ばれる石の祠があり、岩峰のてっぺんには鉄の鉾が立てられています。
現在では八ヶ岳の主峰はもっとも標高が高い赤岳とされていますが、赤岳の開山は江戸期。
権現岳は中世から信仰の対象とされ、修験道の霊場となっており、元来の八ヶ岳信仰の中心地といわれています。
信仰の歴史を登山のなかでも感じさせてくれる山です。
観音平から編笠山山頂を経て権現岳を目指します。
編笠山山頂までは「05-編笠山」のルートをご覧ください。
編笠山からはまず青年小屋を目指して下ります。ハイマツをかき分けて進むと急に視界が開けてきます。
溶岩石が小屋まで埋め尽くされた場所を下っていきましょう。
ちなみにこうした大きな岩石がゴロゴロしている場所を山用語で「ゴーロ」と言います。
岩には所々に矢印や○が書かれているので、これらを頼りに足元に気を付けながら小屋まで下ってください。
小屋で一息ついたら、いよいよ権現岳への登り。案内看板に従って進んでください。
押手川に下る道に間違って入らないように注意です。
八ヶ岳の特徴のひとつ、立ち枯れの木々の並木道を進むと樹林帯に入ります。
すぐに森林限界の岩稜歩きになり、一気に領斜がキツくなっていきます。
ノロシ場と呼ばれるポイントまで来ると完全に展望が開け、正面に西ギボシの美しい岩稜が見えます。
西ギボシの岩稜には登山者がつかまって進めるように鎖が張られています。
最初の鎖場を通過したら、次に東ギボシの東斜面に。ここのトラバースは、このルートの核心部というべき場所です。
ギボシを右から巻くようになっていますが、谷川の斜度は45~50度くらい。山の崖としてはそれほど高く感じません。
トラバース地点の登山道が谷川に傾斜し、道幅が部分的に狭くなっている箇所があり、ここはやや緊張します。
滑落しても最悪の事態になることは考えにくいですが、注意して歩きましょう。
その後も鎖場が稜線まで続きますが、ここを超えれば難易度は低くなります。
稜線に上がると赤岳や阿弥陀岳、横岳、硫黄岳などの眺望が広がります。
稜線に沿って下り、登り返せば権現岳山頂が見えます。
山頂手前の権現小屋のすぐ上には赤岳への分岐があり、北へ連なる八ヶ岳の主稜線が一望できます。
ここから平坦な稜線を数分進むと権現岳山頂です。
Course Data コースデータ
- コースタイム
- 合計:約8時間50分登り 約5時間10分 下り 約3時間40分
- 登山口・山頂の標高差
- 1,155m
- グレード
- 4C
- 登山適期
- 6月~10月上旬
- 積雪期
- 11月中旬~4月中旬
- 残雪期
- 4月~5月上旬
- マイカー
- 中央自動車道小淵沢ICから県道11号線を5分程北上、県道618号線(冬季閉鎖)に合流し観音平(無料駐車場50台)ICから約15分
- 公共交通機関
- JR中央本線小淵沢駅からタクシーで競音平登山口へ(約20分)
Course Map コースマップ/行程
- 山梨 山のグレーティングとは?
-
グレーディングの内容や使い方などくわしくは山梨県庁のホームページをご確認ください。
体力度
コースタイム、ルート全長、累積登り標高差、累積下り標高差の4つの数値から、次の式により「ルート定数」を算出し、1~10の10段階で評価しています。
ルート定数=コースタイム(時間)×1.8+ルート全長(km)×0.3+累積登り標高差(km)×10.0+累積下り標高差(km)×0.6技術的難易度
登山道の状況や、登山者に求められる技術・能力により、A~Eの5段階で評価しています。
技術的難易度 登山道の状況 求められる技術・能力 A★ - 概ね整備済
- 転んだ場合でも転落・滑落の可能性は低い。
- 道迷いの心配は少ない。
- 登山の装備が必要
B★★ - 沢、崖、場所により雪渓などを通過
- 急な登下降がある。
- 道が分かりにくい所がある。
- 転んだ場合に転落・滑落事故につながる場所がある。
- 登山経驗が必要
- 地図読み能力があることが望ましい。
C★★★ - ハシゴ・くさり場、また、場所により雪や渡渉箇所がある。
- ミスをすると転落・滑落などの事故となる場所がある。
- 案内標識が不十分な箇所も含まれる。
- 地図読み能カ、ハシゴ・くさり場などを通過できる身体能力が必要
D★★★★ - 厳しい岩機や不安定なガレ場、ハシゴくさり場、藪漕ぎを必要とする箇所、場所により雪渓や薄渉箇所がある。
- 手を使う急な登下降がある。
- ハシゴ・くさり場や案内標識などの人工的な補助は限定的で、転落・滑落の危険簡所が多い。
- 地図読み能力、岩場、雪漢を安定して通過できるパランス能力や技術が必要
- ルートファインディンダの技術が必要
E★★★★★ - 緊張を強いられる厳しい岩積の登下降が続き、転落・滑落の危険箇所が連続する。
- 深い藪漕ぎを必要とする箇所が連続する場合がある
- 地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるパランス能力や技術が必要
- ルートファインディングの技術、高度な判断力が必要
- 登山者によってはロープを使わないと危険な場所もある。