修験道に思いを馳せつつ上級者向けのクラシックルート
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山岳信仰によって開山された黒戸尾根は甲斐駒ヶ岳の表登山道であり、日本三大急登のひとつ。
累計標高差約2,300mのロングコースには高度感のある梯子や鎖場が連続して現れます。
特に樹林帯のなかとはいえ、五合目から七合目にかけての高度感たっぷりの梯子や鎖場が連続する場所は黒戸尾根の核心部といっていいでしょう。
近年では北沢峠から甲斐駒ヶ岳へ登る登山者がほとんどですが、歴史を感じる黒戸尾根の登山道から山頂を極めた時の喜びは大きいです。
黒戸尾根の登山道へは尾白川渓谷駐車場がアクセスポイントになります。
100台収容の駐車場ですが、夏の週末になると満車となり、路上駐車の列が長く伸びる事もしばしば。出発は早い時間がオススメです。
駐車場から竹宇駒ヶ岳神社の参道を奥へ進み、尾白川に架けられたつり橋を渡ると登山道がスタートします。
樹林帯をジグザグに登ると横手登山口からの登山道が合流する休憩の最適地、笹ノ平に着きます。
傾斜のきつい八丁坂を40分ほど登りつめると笹が群生する平坦地に出ます。
この知覚には休憩地・八丁平があり、天気がいいと富士山がきれいに見えます。
八丁平を通過すると展望が一気に開け、「刃渡り」と呼ばれる難所が現れます。
「刃渡り」の左側は樹木が生えているとはいえほぼ垂直な断崖。
右側は斜度40度ほどの一枚岩となっていて、その緑の部分の岩に鎖が取り付けられています。
過去に滑落事故が発生している場所ですので、通貨には注意が必要です。
その後、黒戸山の山頂を右から巻くように登り、一旦100mほど下ります。
下りきった所が五合目の平坦地で、ここから七丈小屋の建つ七合目まで梯子や鎖の連続となります。
梯子が何度か続いた先で橋を渡ると、黒戸尾根の核心部に突入します。
ほぼ垂直で高度感がある梯子を登るとすぐにまた梯子が。
この梯子の後の鎖場は約3m、傾斜70度で黒戸尾根ルートのなかでも高度感たっぷりの所です。鎖場を登りきりトラバースすると核心部終了です。
ここまでくればもう一息。七丈小屋から雄大な甲斐駒ヶ岳の山頂部と摩利支天の雄姿が望める八合目御来迎場へ向かいます。
山頂までは鎖が設置された岩場が数か所現れますが、特に高度感はなく難しくはありません。
たどり着いた甲斐駒ヶ岳山頂からは南アルプスの代表的な山々である北岳、仙丈ヶ岳、鳳凰三山、鋸岳などの眺望を堪能できます。
Course Data コースデータ
- コースタイム
- 合計:約16時間登り 約9時間40分 下り 約6時間20分
- 登山口・山頂の標高差
- 2,197m
- グレード
- 6D
- 登山適期
- 6~10月上旬
- 積雪期
- 11月中旬~4月中旬
- 残雪期
- 4~5月上旬
- マイカー
- 中央自動車道長坂ICから県道606号線を利用し尾白川渓谷駐車場(無料100台)へ。ICから約30分
- 公共交通機関
- JR中央本線小淵沢駅からタクシーで尾白川渓谷駐室場へ(約30分)
Course Map コースマップ/行程
- 山梨 山のグレーティングとは?
-
グレーディングの内容や使い方などくわしくは山梨県庁のホームページをご確認ください。
体力度
コースタイム、ルート全長、累積登り標高差、累積下り標高差の4つの数値から、次の式により「ルート定数」を算出し、1~10の10段階で評価しています。
ルート定数=コースタイム(時間)×1.8+ルート全長(km)×0.3+累積登り標高差(km)×10.0+累積下り標高差(km)×0.6技術的難易度
登山道の状況や、登山者に求められる技術・能力により、A~Eの5段階で評価しています。
技術的難易度 登山道の状況 求められる技術・能力 A★ - 概ね整備済
- 転んだ場合でも転落・滑落の可能性は低い。
- 道迷いの心配は少ない。
- 登山の装備が必要
B★★ - 沢、崖、場所により雪渓などを通過
- 急な登下降がある。
- 道が分かりにくい所がある。
- 転んだ場合に転落・滑落事故につながる場所がある。
- 登山経驗が必要
- 地図読み能力があることが望ましい。
C★★★ - ハシゴ・くさり場、また、場所により雪や渡渉箇所がある。
- ミスをすると転落・滑落などの事故となる場所がある。
- 案内標識が不十分な箇所も含まれる。
- 地図読み能カ、ハシゴ・くさり場などを通過できる身体能力が必要
D★★★★ - 厳しい岩機や不安定なガレ場、ハシゴくさり場、藪漕ぎを必要とする箇所、場所により雪渓や薄渉箇所がある。
- 手を使う急な登下降がある。
- ハシゴ・くさり場や案内標識などの人工的な補助は限定的で、転落・滑落の危険簡所が多い。
- 地図読み能力、岩場、雪漢を安定して通過できるパランス能力や技術が必要
- ルートファインディンダの技術が必要
E★★★★★ - 緊張を強いられる厳しい岩積の登下降が続き、転落・滑落の危険箇所が連続する。
- 深い藪漕ぎを必要とする箇所が連続する場合がある
- 地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるパランス能力や技術が必要
- ルートファインディングの技術、高度な判断力が必要
- 登山者によってはロープを使わないと危険な場所もある。